第43回 公務員給与

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 日銀は全国の経済情勢を点検した地域経済報告を発表し、今回、国内全9地域の景気判断を上向きに修正しました。北海道を除く9地域で「下げ止まり」との表現を使い「景気の底打ち」宣言を行っています。ただし実際に会社を経営する中小企業の経営者からすると新規の受注が見えない状況では景気の底も見えない状況ではないでしょうか。日銀の地域経済報告や政府の月例経済報告は、実際の景気に先行し今後の景気を良くするための「アナウンスメント効果」があるとしても今回の報告は本当の実態を表していないと思います。まあ、実際の仕事の責任が明確にはならない公務員だからこそ公表できる仕事なのかもしれません。

 さて、先日の新聞に地方公務員の年収に関する記事が掲載されていました。都道府県、市区町村を合わせた全国の地方公共団体の1割に当たる187の自治体で職員の平均年収が700万円を超えているというものです。平成18年度のデータになりますが総務省が公表している地方公務員の年間給与は728万円、一方国税庁が公表している民間の年間給与は434万円となっており、公務員給与と民間給与の差額は294万円となっています。さらに最近では、金融危機が民間の給与にも影響しておりボーナスの削減後は、この差額がさらに拡大していると思われます。

 公務員は、労働基本権(団結権、団体交渉権、争議権)のうち団体交渉の裏付けとして、ストライキ等を行う争議権が認められていないため、(1)その給与は、市場原理による水準の決定が困難であり、(2)労働交渉によって勤務条件を決定することができないことから、それに代わるものとして都道府県、市区町村に人事委員会勧告制度が設けられています。一部の地方公共団体には人事委員会を設けず国又は他の地方公共団体の人事委員会の勧告に準拠して給与を決定しています。

 人事委員会は、公務員の給与を決める際に、民間の給与を調査し、公務員給与の勧告を行いますが、先程のように大幅な給与格差が発生するのはなぜでしょうか。これは人事委員会が採用する民間給与の調査方法に問題があります。人事委員会は、公務員の給与の参考になるように民間の会社からサンプルを選ぶのですが、その際、従業員数に制限を設けています。多くの地方公共団体が50人以上の従業員を雇用する会社をサンプルの対象にして給与の調査を行っています。50人以上の従業員を雇用している会社は、県内でも2~3パーセントです。人事委員会が参考にする企業自体が地方の企業の給与実態をそもそも反映していないことになります。

 公務員に争議権が認めていないだけで、人事委員会の制度が採用されているのですが、一部の企業を除き、民間の企業でもストライキなんて行っていません(行えません)。人事委員会の委員も第三者が選任されているのですが、実際の事務は地方公共団体の職員が行っており、結局は自分たちの給与を自分たちで決定する制度となっています。