第41回 名ばかり管理職

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 9月も中旬を過ぎると随分涼しくなりました。風邪などひいている人も多くなってきたようです。

 小売店、飲食業等において十分な権限や裁量もないまま管理職として扱われ、残業手当も支給されないまま過酷な長時間労働を強いられる名ばかり管理職の問題は、東京地裁で日本マクドナルドに対し判決が下り大きな問題となりました。テレビでも取り上げられた入社9ヶ月目で管理職にされた20代の男性は、24時間営業のコンビニを店長としてまかされ、人手不足のなかアルバイトの勤務できない時間すべてに勤務し4日間で80時間の長時間労働を強いられました。背景には他の店舗の出店や激しい競争の中、正社員の数は最小限に抑え、その人件費も抑えたいという会社の思惑があります。

 労働基準法で管理監督者とは「監督若しくは管理の地位にある者」のことをいい、労働時間の規制が撤廃されている者、すなわち残業代を支払わなくてもよい者ということになっています。これだけでは不十分なので厚生労働省の通達で (1)経営者と一体的な立場 (2)労働時間を管理されない (3)ふさわしい待遇 の3つの条件を満たす者を管理監督者としています。日本マクドナルドの店長は管理職かどうか争われた裁判で、東京地裁は「店長は上記3つの条件を満たす管理職には当たらない」と判断しました。その後、今まで見て見ぬふりをしていた労働基準監督署による指導も相次いでおり、小売店、飲食業等のいわゆるチェーン店の運営にも支障をきたすようになりました。私も学生時代日本マクドナルドでアルバイトをしていましたが店長の勤務はすさまじいものがありました。オープンからクローズまで勤務したあげく深夜のメンテも行っていた店長を見ているととても管理監督者とは言えません。

 平成20年9月9日、厚生労働省は管理監督者の範囲の適正化を図るため、上記3つの条件について、具体的な判断要素を整理した通達を公表しました。今後はこの通達に合わせて労働基準監督署の指導が行われることになります。この通達に当てはめるとほとんどのチェーン店の店長は管理監督者ではなくなるでしょう。実際、アルバイト・パートの採用や解雇の権限がなく、遅刻、早退等をすれば給与を減額され、時間単価に換算した場合アルバイト・パート等の賃金を下回っている店長が管理監督者となるはずがありません。

 今回の東京地裁の判決と厚生労働省の通達の公表により会社も現在の管理職の見直しを迫られています。今後も管理職として扱う場合には、権限、待遇を十分検討する必要があります。その結果、管理職として扱わないのであれば、従来、役職手当等として支給していたものは、残業代等に振り替えるような賃金体系の見直しが必要になります。