第39回 独立行政法人

早くも師走となりました。今年はどんな年だったでしょうか?今年の世相を表す漢字「偽」が全てを表しているような気がしました。

12月は、何かと忙しいのですが、国会議員で一番テレビに露出しているのは、舛添要一厚労大臣と渡辺善美行革担当大臣でしょうか。今回は渡辺行革大臣が担当する独立行政法人(独法)の話をしたいと思います。小泉改革は本来「聖域なき構造改革、特殊法人は原則廃止か民営化」のはずだったのに、特殊法人を独法に変えただけでした。そして、独法化してからしかるべき年数を経て、その業務内容を見直し、存続の可否を検討するとし、問題の先送りをおこないました。その期限が今年の12月でその担当大臣が渡辺大臣なのです。

8月に所管する省庁が提出した整理合理化案では対象となる101法人のうち明確に廃止を盛り込んだのは、不祥事ですでに廃止が決まっている緑資源機構ただ1つであり積極的に廃止を盛り込んだ独法は「ゼロ回答」でした。確かに省庁の役人にしても将来の天下り先を少しでも確保したいのが本音で、自分から廃止・民営化に手を上げるとは思えません。政府の行政減量・効率化有識者会議は11月末の最終報告で「国民にとって真に不可欠な事務・事業以外は廃止すべきだ」と指摘、都市再生機構等11法人の廃止・民営化を盛り込みました。この方針に従って渡辺大臣が個別に各大臣を訪問し廃止・民営化の可能性を探っていますが、新たに廃止が決まったのは日本万博博覧会記念機構など4法人にとどまっており、余計なことを言って官房長官からお叱りを受ける始末です。

101の独法のうち93の法人は、国から運営費補助金、施設整備費等の名目で、平成19年度に約3兆5000億円の財政支出を受けています。本来は、運営に関しては独立して採算を取ることを目標にしていますが、現状ではかつての特殊法人などが改組されたものが大半を占めており、その金額に大きな変動はありません。補助金を法人の数で割ると単純に一つの法人が376億円を受領していることになります。この補助金が、高額な給与、海外視察と称した遊行費等ムダな支出に使われています。

政府も省庁だけに任せていたのでは有効な改革が行えないと判断し、独法が行っている業務を対象に民間企業とサービスを競う市場化テストの導入を決めました。まず国立競技場の管理・運営や賃貸住宅の入居者募集業務など20~30の事務業務を中心に平成19年度中に入札を行う予定のようです。独法の整理統合が進まないので個別の業務を中心に民間との競争を促す狙いです。

特殊法人から生まれ変わった独法ですが、省庁の所管法人だけあってその改革には既得特権を守ろうとする省庁の激しい抵抗が行われています。独法の実態は、人と金が複雑に絡み合いその透明性が外部からは分かりづらくなっています。ここは、その実態を国民に開示し明確なトップダウンの決断により独法の廃止・民営化を行う必要があります。

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