第37回 消費者金融

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 先日、東京証券取引所一部上場の消費者金融、クレディアが東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。同社は静岡県に本社を置き、従業員約550人、電話やネットで全国的に顧客を集めていたので、平成19年8月末の貸付残高は約870億円で業界16位でした。

 同社が民事再生法の適用を申請したことにより、消費者金融業界の苦境を改めて浮き彫りにしました。従来、消費者金融は、基本的に銀行から融資を受けられない人(会社)を相手にしているので、景気が悪化すればするほど高金利により莫大な利益が獲得できる業界でした。実際それを目当てに銀行、外資系、カード会社等が消費者金融会社を買収し系列化していきました。その経営環境が激変したのは従来、放置されていた貸出上限金利の引下げや貸付を原則年収の3分の1以下に抑える総量規制を盛り込んだ改正貸金業法が成立したことによります。また、過去の高金利による過払い金の返還請求への引当金計上が相次ぎ消費者金融業界も巨額の赤字となりました。

 業界団体に加盟している業者は全国で約6千社にのぼりますが、競争の激化により廃業が加速し10年間で加盟業者は半減しました。ただし淘汰が進んだのは消費者金融業界でも従業員が数人から数十人の中小・零細企業だけです。大手は株式上場や低金利により調達した贅沢な手持ち資金によりどうにか生き延びてきました。

 現在、金融機関は消費者金融業界への融資残高を減らしているので、これから本格的な消費者金融業者の淘汰が始まります。これは従来、バブル期に野放し状態だった不動産業界への融資の総量規制を行い、その後長期的なバブル後遺症に悩む前の状況に似ているような気がします。また、これにより系列の銀行、外資系、カード会社等もその損失を被ることになるため、現在増資や、TOBにより財務基盤の強化を急いでいます。「金のなる木」として買収した消費者金融会社も対応を誤れば莫大な損失を生むことになるかもしれません。

 先日、安倍首相が突然辞任を発表しました。当初国会の所信表明で力強く続投を唱えていただけに何が起こったのか訳がわかりませんでした。政治にも企業にもリーダーが重要であることを強烈に意識させました。経済界では「民間の企業ではその様なことはありえない」といっていましたが、最近の会社のリーダーが起こした食品の賞味期限偽装のような犯罪を見ていると企業の中にも適切なリーダーシップを発揮しているとは言えない事例が散見されるような気がしてなりません。