第36回 家電リサイクル法

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 梅雨が明けたら、毎日暑い日が続いています。

 さて、経済産業省と環境省は、家電の廃棄時に支払うリサイクル料金について、「前払い方式」の導入を検討していましたが、その導入を断念しました。家電リサイクル法は、平成13年に施行されました。当時、一般家庭から廃棄される家電製品は年間約60万トンになりましたが、埋め立てられる廃棄家電には再び利用することができる有用な資源がたくさん含まれているので、有用な資源の再利用を促進し、廃棄物を減らすために、この法律が作成されました。この法律には、その運用状況を検討し5年後に見直すことが付帯決議されており、今回、経済産業省の産業構造審議会と環境省の中央作業部会の共同作業部会が、現在、廃棄時に支払う「後払い方式」のリサイクル料を購入時に支払う「前払い方式」に変更できないか検討していましたが、廃棄家電を処理する経路が不透明との指摘が相次ぎ改正案の提出が見送られました。

 背景には家電リサイクル法の想定する再処理ルートが大きく影響しています。家電リサイクル法は、対象となる4品目(テレビ・冷蔵冷凍庫・エアコン・洗濯機)を小売店や中古業者が消費者からリサイクル料を受け取って回収し、メーカーに再商品化を委託することだけを想定しています。したがって、小売店等が中古品として海外等へ再販売したり、メーカー以外の業者が廃棄家電を分解し資源だけを回収することは想定していませんでした。しかし実際には小売店等は消費者から年間約2,300万台を回収しましたが、想定したルート通りに、メーカーに引き渡し再処理された数は約1,160万台に過ぎません。中古品として再販売された697万台と分解して資源が回収させた421万台は、想定外の処理ルートであり、想定外のリサイクル料は、小売店等の利益となっています。この金額は、1台当たりの処理料を3,000円とすれば総額で約335億円になります。対象となる家電を廃棄する人は強制的に処理料を徴収されているにもかかわらず、リサイクル料金の半分近くが無駄になっていることを示しています。

 両省は、廃棄家電を横流ししていた家電量販店大手の業者に厳重注意を行うとともに、今回の検討により、廃棄家電の不法投棄を減らし、適正なリサイクルの実現に向けた対策を打ち出しています。具体的には、

 (1)不法投棄や、冷蔵庫からフロンを抜かないなど違法な処理をした業者への罰金の増額
(2)現在のリサイクル料金の引下げ
(3)小売店等に対して引き取った廃棄家電の記録(マニュフェスト)の義務化

 等を行うことになっています。

 集めた金を適正に管理し支払うためには多大な労力と管理費用が必要です。「後払い方式」の家電のリサイクル料金でさえもこれだけの問題が発生している事を考えれば、最近話題の年金は、保険料を集めてから30年以上経過後に年金の支払いが始まるので、今回のような問題が発生するのは当然の事なのかもしれません。