第34回 日本版SOX法

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 先日、郵便局が年賀状の注文に事務所を訪問しました。今年ももうすぐ終わりです。そう言えば今日の北海道の天気予報は雪でした。

 さて、先日東京でセミナーに出席しました。セミナーの内容は「株式会社の内部統制と財務報告」です。アメリカでは、エンロンやワールドコムで巨額粉飾事件が発覚し経営破綻しました。両社の粉飾決算と経営破綻は、アメリカの企業会計に対する深刻な不信を招き、株式市場は低迷しました。このため「会計事務所の監査だけでは不正や違法行為を防ぐことは出来ず、企業自身の内部統制を強化する必要がある」という議論が急速に広がりSOX法制定につながりました。日本でも西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載とカネボウの粉飾決算が相次いだので、本年6月に証券取引法が改正され「金融商品取引法」が成立しました。さらに今後具体的な適用の基準を示した「実施基準」が公表されれば、「日本版SOX法」が成立し、平成21年3月期決算から適用することになります。今回のセミナーは日本版「SOX」法の概要を説明するセミナーでした。

 内部統制というとどのようなイメージを持つでしょうか?いろいろな定義がありますが、経済産業省が平成15年6月に公表した「リスク管理・内部統制に関する研究会報告」では、内部統制を「企業がその業務を適正かつ効率的に遂行するために、社内に構築され、運用される体制及びプロセス」と定義されています。経営者が全ての業務を1人で行うのであれば内部統制を作る必要など無いのですが、業務が拡大し複雑化すると従業員を雇用することになり、その従業員を管理・監督するためにも内部統制が必要になります。

 内部統制の目的は、どこまでの業務を整備するかにより、(1)職務執行の効率性、(2)リスク体制の整備、(3)法令等の遵守、(4)財務報告の信頼性があります。今回の日本版「SOX」法は、株式を上場又は公開している会社に財務報告に関る内部統制の評価と監査を連結ベースで求めています。日本版「SOX」法は、上記(4)の目的を達成する範囲の内部統制の整備運用を求めているにもかかわらず、「実施基準」が公表されていないので、その目的を逸脱した広範囲の内部統制を考慮した会社もあり作業が混乱したケースもあるようです。

 具体的には決算書の勘定科目に関連する業務プロセスを認識し、フローチャートを作成した後、どの作業でエラーが発生する可能性があるのかを認識し、そのエラーを防止又は発見するコントロールを設けることになります。預金入金や出金の業務プロセスでは、預金勘定調整表の作成は重要なコントロールであり、その調整表の作成が適正に行われているかを確認する必要があります。

 いずれにしても、従来、業務プロセスを「文書化」していなかった会社には膨大な作業時間と経費が発生する作業なので、その実施にはIT関連の部署を含めたプロジェクトチームの作成と十分な計画の立案が必要です。