第28回 訪問集金

もういつの間にか桜の時期も終わってしまいました。今日の日差しは初夏のようです、暖かいので日中は半袖の人もいました。

さて、先日私のクライアントから銀行との取引で相談がありました。そのクライアントは、窓口の現金売上があるので、銀行が1週間に1度訪問し、集金業務を行っていました。ところが銀行から支店の行員が転勤し補充がないので、現在行っている1週間に1度の集金を2週間に1度の集金に変更したい。またその2週間に1度の集金も特例で行なうので、将来的には行いたくないとの申し出があったのです。その銀行からは店舗の開業資金等の融資を受けており訪問集金によって、売上の金額が分かり融資先の現状が把握できるのではないかと思っていたのですが、銀行としては内部のリストラが優先したようです。

先日の新聞にも東北地方の信用金庫が従来行っていた定期積金の集金業務を縮小しているとの記事が掲載されていました。その記事によれば、融資の低金利化が進行する中で渉外担当者が自分の人件費等をかけて定期積金を集金していたのでは逆ザヤが進行してしまうとの思いがあるようです。また本来、集金業務の目的はクライアントを訪問することによりクライアントの新たな資金の需要を把握し融資を増加させることにあったにもかかわらず、集金業務自体が目的となり、融資残高の増加に貢献しなかった点が大きいようです。銀行の収益はその大部分が融資による金利収益であり、その拡大が見込めない集金業務を縮小する傾向にあるのは、金融機関が自分自身の業務内容を見直し、利益を増大させるにはどのようにすれば良いかを考えた結論だと思います。

小泉政府は、金融ビッグバンにより大手金融機関には徹底的な不良債権処理を要求しました。一方中小・地域金融機関が徹底的な不良債権処理を行ったのでは、ぜい弱な財政状態の中小企業はたちどころに破綻し地域経済に与える影響も大きいことから大手金融機関とは違い、長期継続する取引先企業との関係のなかから、その事業の将来性や経営者の資質などの情報を的確にとらえて融資を実行する「リレーションシップバンキング」(通称「リレバン」)を要求しました。リレバンの本質は取引先企業の情報を的確に把握することであり、上記の窓口の現金売上の訪問集金は取引先企業の経営情報を把握する一番良い方法ではないかと思います。

従来、ほぼ均一だった融資金利や預金金利さらには訪問集金等のサービスも金融機関の考え方によりずいぶん違いが発生しています。取引先企業も金融機関から提供されるサービスがどれだけ自分の業務に貢献しているのかを把握し、金融機関を選別できることを十分に認識すべきだとおもいます。

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