第20回 トヨタ流カイゼン

11月となり、会津地方の天気予報は、雪です。本格的な夏もなく早くも冬のシーズンとなってしまいました。冬といえば風邪の季節、私は昨年からインフルエンザの予防接種を受けています、今年も来週にでも受けたいと思います。皆さんもインフルエンザに罹っても軽くなるよう予防接種を受けましょう。

先日本屋に行ったところ、ビジネス書の棚にある本のタイトルに「トヨタ流」の文字が付いた本が多いのに気づきました。確かに出版社や著者は違うのですがタイトルだけは似ています。数冊を手にとって読んでみると、内容はトヨタの生産方式を業務改善に取り込み徹底した無駄の排除を目的としているようです。ただし中には、国や地方公共団体のように単なる在庫減らしや現場の改善提案活動を行っただけで「トヨタ流」と名づけている例も多いらしく「トヨタ流カイゼン」の本質とは何なのか興味が湧くところです。

中部空港は、トヨタ出身の人材を社長に迎え、徹底したコスト削減を慣行し当初計画した七千六百八十億円の費用を一千億円以上削減したとのことです。以前から言われていたことですが、当初計画に採用されていた資材単価は、民間工事に比べ二割から四割以上高額だったそうです。公共工事に使用される資材の価格は、国土交通省傘下の財団法人の調査した価格をもとに「机上の計算」で工事の予定価格を割り出しています。デフレで物の価格が下落している状況でも、資材価格の下落が財団法人の提示する価格に反映されず、割高な価格で予定価格が算定されます。今回の中部空港の工事では、担当者が資材メーカーから最新の価格情報を入手し、その資材価格を入札に反映、最低価格で応札した業者とも再交渉し、さらにコスト削減の可能性を探りました。確かに、私のクライアントの建設会社も、同じ建築工事を請負っても民間工事と公共工事では、明らかに利益率が違います。それだけ公共工事には、無駄が多いのです。国、地方公共団体の職員も工事には他人の税金を投入しているのであり、自分の金を使っているのではないので、工事代金を削減しようとは積極的に思わないのでしょう。

それらの書籍の中にも言われていることですが、単に手法をまねるだけでは、トヨタにはなれません。カイゼンの意識を持つ社員が次から次へと現れるような「人づくり」を通じて組織風土そのものを変えることが「トヨタ流カイゼン」の本質のようです。価格が安いというだけで、「アスクル」等から事務消耗品を大量に購入し、保管場所に困ったり、その消耗品が劣化し使用できなくなったりしたのでは、何の為に購入したのかまったくわかりません。これも一種の無駄なのです。

我々の周りにも見回してみると、無駄なことがかなり見つかります。その原因を調べてみると、長年の慣行や組織に問題がある場合が多く、それらにも思い切ってメスを入れられなければ、「トヨタ流カイゼン」を行ったことにはなりません。

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