第19回 NPO法人

10月になると天候もかなり寒くなってきました。今年もあと3ヶ月かと思うと本当に時の経つのは早いものです。

先日の日経新聞(10月3日)に、NPO法人が相次いで社会福祉法人に転換する例が増えているとの記事が載っていました。私もクライアントにNPO法人と社会福祉法人があり両者の違いについて非常に関心があります。NPO法人は、平成10年の国会で成立した特定非営利活動促進法(NPO法)により設立できる法人です。NPO法人が行うことができる活動を非営利活動に限定し、社会貢献活動を行う市民グループに法人格を与えようとするものです。設立時の資産基準はなく、都道府県の認証により設立できます。平成12年4月からの介護保険の開始により従来のボランティア活動の団体がNPO法人化し、NPO法人の約6割が介護保険関連のNPO法人で占められるようになりました。

一方、社会福祉法人は、社会福祉法により都道府県の認可により設立できる法人です。従来は設立時の資産基準等にかなり高いハードルがありましたが、社会福祉法の改正により資産基準も特定の事業については1千万円以上となり設立が容易になりました。このように同じ社会貢献又は社会福祉を目的として運営されながら両社には様々な差異があります。

(1)税金
NPO法人も社会福祉法人も介護保険サービス事業を主たる事業としている法人が多いのですが、NPO法人が介護保険から報酬を得ると「医療保険業」を行ったことになり法人税の対象になります。一方、社会福祉法人は、介護保険から報酬を得ても非課税です。NPO法人の中には、NPO法上の非営利活動事業と法人税法上の非課税取引との区別が付かず、NPO法人の行う事業は法人税も発生しないと考える人も多く設立後、実際にNPO法人となった意味が全くないと嘆く人もいます。同じ事業を実施していながら、法人の種類が違うだけで、これだけの差異が発生してしまうのは明らかに税制上の問題点だと思います。

(2)補助金
国、地方公共団体や補助金の支給団体(競馬・競輪・競艇等)の中には補助金の支給対象を社会福祉法人に限定している団体があります。社会福祉法人と同じ活動を行っているNPO法人が補助金の恩恵を受けられない場合もあります。

NPO法人の歴史が浅い為か、社会福祉の主役は地域の社会福祉法人との考え方が行政のなかにも根付いているようです。従来、行政が担っていたサービスを民間主導でNPO法人等に移行させようと考えていた矢先であり、NPO法人自体がそのデメリットに気づき社会福祉法人へ移行するのは、社会福祉をビジネスとして考え始めた結果でしょうか。

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