第18回 産業再生機構

9月なのにこの暑さはどうしたのでしょうか。結局年間の平均気温は8月の寒さを考えると同じなのかもしれません。

先月の月末は、郡山の経済界に激震が走りました、8月28日に、産業再生機構が老舗デパート「うすい百貨店」の再生支援を発表したかと思えば、その翌日には、同じ郡山でホテルを経営する「ホテルはまつ」と冠婚葬祭互助会の「アンサージ」が民事再生法の適用を行いました。うすい百貨店は負債額155億円、ホテルはまつは、122億円の負債があり、これ以上自力での再建が見込めないので、産業再生機構への再生の依頼と、民事再生法の適用申請となったようです。

それぞれ適用した制度は違いますが、どちらも会社の再建を目指すことには変わりません。民事再生法は平成12年4月から施行されているので、新聞等で何度か目にしたことがあると思います。民事再生法が施行されるまでは、中小会社の倒産処理の方法としては破産が中心でした。以前から民事再生法に似た制度で和議という制度がありましたが、債務の免除とその返済方法をそれぞれの債権者間の合意に委ねていたので、その調整が付かず、ほとんど利用されることがありませんでした、そこで民事再生法は、債務の免除等を裁判所の判断に任せることによりその制度を利用しやすくしました。会社の実施する事業の中に利益が獲得できる有望な事業があればその事業に特化できるように債務の切捨て等を行い会社の再建を図ります。破産前でも、事業が立ち行かなくなった段階で民事再生法の適用申請ができるので、申請の数が急激に増加しています。ただし、儲かると思っていた事業の将来の見通しの甘さ等から申請した会社のほとんどが破産しているのが現実です。

うすい百貨店の場合は、産業再生機構が第1陣として支援する3つの会社の1つなのでかなり話題性がありました。産業再生機構は、過剰債務・過剰設備に苦しむ企業の再建を後押しする為に、平成15年4月16日に設立された株式会社です。再生の手法は、個々のケースにより違うのでしょうが、基本的には返済が立ち行かなくなった債務等の減額を図り、その後、人材等を派遣することにより経営の立直しや必要な投資を行い、本格的な事業競争力・収益力を回復させます。特に短期的、集中的な取り組みを重視し、3年以内の再建を基本としています。確かに日産自動車の事例等見れば、3年で結論が出なければ会社の再建は見込めないかもしれません。

どちらの会社も過剰債務・過剰資産が原因で今回のような事態になりましたが、両者の過剰資産がバブル期に計画した設備投資をバブルが終わった後に実施したことにより発生したことも奇妙な偶然かもしれません。経営者には、事業に「まい進」するだけでなく、事業の将来の収支を考えて、その事業を「止める」勇気も必要なのだとつくづく思い知らされました。

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