第15回 TAC

5月4日の日経新聞にTAC(タック)の記事が載っていました。TACと言ってわかる人は何人いるでしょうか。

東京・アスレチック・クラブなどと言ってはいけません。公認会計士や税理士、中小企業診断士などの試験の受験生であれば、知らない人は、もぐり、TACは、東京・アカウンティング・センターの略です。私が受験していた20年ほど前は、TACの他に大原簿記学校や東京商科も会計士の専門学校を開設しており、それぞれに特色のある授業を行っていました。会計士を目指すなら受験専門の学校に通うのは当然、受験に直結する知識だけを短期間の間に教えてくれるので、自分で勉強するよりも数倍効率が良くなります。当時、私も大学に籍を置きながら、別の専門学校に通うダブルスクールを経験しました。大学の授業は体育と語学だけ出席し、その他の授業に出席した記憶はほとんどありません。逆に言えば面白くない授業に出席していても無駄なだけでした。専門学校の友人も同じ目的を持っており、年齢の幅もあるので、刺激があり大学の授業では味わえない緊張感がありました。

その記事によれば、現在では個人受講生は、年間11万人を越え、特に近年、受講生に占める社会人の割合が増加しているのだそうです。この傾向は、1997年の山一証券の経営破綻以後、顕著に現れました。終身雇用の慣行が崩れ、リストラや成果主義による人事が増えて資格の人気が高まっているのだそうです。確かに、今の時代、どんなに良い会社に入ったとしても、親方日の丸の公務員以外は、一年後に自分の会社がどうなっているかわかりません。たとえ会社が存続していたとしても、その会社での自分の身分は非常に不安定です。そのような気持ちから、何か資格でも取っておこうと考えるサラリーマンが増えても不思議ではありません。

このような傾向は、世の中の価値観が会社から個人へと移ってきたことを表しています。ただしそれ自体は、悪いことだとは思いません。会社は言い換えれば個人の集合体であり、個人が資格等を目指すことによりレベルアップすれば会社の能力もアップすることになります。特に、建設会社は、公共工事を受注する場合、経営審査(経審)を受けなければなりません。経審では、従業員の資格を点数化し会社の評価を実施するので、建設会社は、従業員に積極的に資格取得を勧めます。

TACの社長は、公認会計士であり、現在、会社は東証2部に上場しています。その記事のなかで同社の経営理念を聞かれた時、社長は「ライバルとの競合を避けて、勝てる土俵を自分で作りオンリーワンを目指す。」と解説していました。現代の経営のポイントを衝いた言葉だと思います。

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