第10回 年末調整

今年も12月となりました。早いもので既に2度ほど雪が積もり、雪が降る直前に自動車のタイヤを急遽取り替えました。最近は会津若松に行く機会も少なくなったので年明けにでも交換しようと考えていたので大騒ぎでした。

さて、12月となると、会社の経理部(給与の担当者)や会計事務所は、給与の「年末調整」で大慌てです。渡辺会計事務所は、それほどクライアントの数が無いのでのんびりしていますが、クライアントの数が多い事務所は本当に大変だと思います。平成14年度の年末調整は、昨年と比較し大きな変更はありません。現在、話題に上っている「配偶者特別控除」の廃止等は来年以降の話であり今年の年末調整には影響しません。

従業員の数が多い会社で、年末調整を担当している人の作業は大変です。年度末の給与に年末調整を反映している会社の場合、給与の支払い日前には作業を終了しなければならず、人の苦労を知ってか、知らずか、年末調整に必要な資料を締め切りまでに提出しない人も必ずいます。今でこそ給与計算のソフトが安く手に入るようになったので作業量は格段に少なくなっていますが、全て手作業で行ったら、徹夜をしないと、とても終わりそうにありません。特に、給与計算の場合は、正しく計算されているのが当たり前、もし間違っていたら何を言われるかわかりません。

現在検討しているような、年末調整の内容の議論もありますが、以前、石原東京都知事は、サラリーマンは年末調整を止め、全て「確定申告」へ移行すべきだといっていました。確定申告は、給与の収入金額が2,000万円を超える人、2か所以上から給与の支払を受ける人、年度内に住居を取得した人、医療費を限度額以上支払っている人等の場合に実施しますが、ほとんどのサラリーマンは、年末調整で年度内の納税が終了します。課税当局が課税所得の捕捉度合いを表す言葉で、クロヨン(9-6-4)、あるいはトーゴーサンピン(10-5-3-1)という言葉があります。サラリーマンの場合、所得の捕捉率は、9割(10割)、個人事業者なら6割(5割)、農業所得者なら4割(3割)、政治家や宗教家は1割という意味で課税の公平が実現されていないことを表しています。確かにサラリーマンの場合、一定の給与所得控除が認められているだけで、スーツやネクタイ、仕事帰りの居酒屋の経費等を必要経費として実額では控除できません。さらに年末調整によって納税が終了してしまうので、いったい自分がいくら税金を納めたのか知っている人は、ほとんどいません。もしサラリーマンが、確定申告により税金を納付するのであれば、今のような税金の使われ方に文句を言いたくなる人も多いのではないでしょうか。

今年の12月の給与明細は、年末調整の還付分だけを眺めるのではなく、年間でどれだけの税金を支払ったのかを眺めるのも面白いかもしれませんね。

この連載も10回目になりました。月日のたつのは本当に早いものです。来年も宜しくお願いします。

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