第9回 金融再生プログラム

季節外れの大寒波に見舞われ、11月の始めだというのに早くも初雪です。いつタイヤを冬タイヤに履きかえるべきか迷ってしまいます。

さて、連日、東京証券取引所の日経平均株価も下降気味で、今日(11月12日)の終値は8,464円となりました。1万円割れで大騒ぎしたのが、ついこの前だったことを考えれば、最近の株価の値下げは異常な気がします。竹中平蔵経済財政・金融担当相一人が悪いわけではないのでしょうが、彼の就任後株価が大きく値下がりしたことを考えれば、少なくとも関連があるのでしょう。確かに竹中氏が中心になってまとめた「金融再生プログラム」は、銀行だけでなく、金を借りている事業会社の経営にも大きな影響を与えます。そのプログラムは、簡単にいうと金融再生策を「実施」「検討」「要請」の3段階で具体化していく方針です。

貸し渋りの監視など金融庁の権限で着手できる手続を「実行」、法令改正などが行われなければ実施できない手続を「検討」、「要請」事項としています。検討事項には、当初、金融再生策の目玉とみられていた課題が並んでいます。機動的に公的資金を投入する為の制度作りや、貸出先の収益性を激しく判定して引当金を積む「ディスカウント・キャッシュ・フロー」方式の採用など金融界との論議を呼びそうなテーマが多くあります。さらに、要請事項になると、その実現性はさらに低くなっています。不良債権の損金算入を柔軟に認める無税償却の範囲拡大や、過去に納めた税金の還付制度の復活などには税収減につながるとして財務省が早くも反発しています。

特に現行5年間しか控除できない欠損金の控除制度の延長は、実施できれば金融界だけでなく、産業界からも歓迎されることになりますが、これも税収減につながる為、実現の可能性は未知数です。事業を実施していて損失が発生するのは、先行き不透明な状況ではしょうがないことです。日本の法人税では、欠損金の繰越控除により、その欠損金を将来5年間の利益と相殺できることにしています。ただし、将来、相殺するだけの利益が5年以内に発生しなければ、その欠損金は利用できず、消滅してしまいます。

最近、銀行が処理する繰延税金の問題などでも、5年間の間に利益が獲得できるかどうかが問題となっていることを考えれば、この期間の延長は、実現すれば金融界にとって大変ありがたいことです。また、これから事業を立ち上げようと思っている人たちにも、この修正は有益です。設立初年度などは、何かと出費がかさむものです。その損失分を将来の利益と相殺できれば税金の負担も大幅に減らせます。ただ、事業開始後2年度目ぐらいまでに芽が出ない事業は、結局それを続けると、益々損失が拡大していくのも、事実です。

大手の子会社等ならまだしも、5年間も赤字を垂れ流したのでは、事業自体が継続できないのも当然のことかもしれません。

事業は拡大するだけでなく、見切りをつけるのも本当に大事なことだと思います。

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