第5回 貸出金利

ワールドカップも、予想通り?ブラジルが優勝し終了しました。優勝候補が次々と脱落する中、王者の貫禄を見せ優勝したのには、さすが、ブラジルと思います。

さて、最近の新聞に、銀行・信金・信組等の金融機関が融資先企業の信用リスク(貸倒発生のリスク)を反映した貸出金利を実施に移すとの記事が載っていました。現在は、約1%から3%ぐらいだった金利を、融資先別の金利に改めるとのことです。

これは、今まで金融機関が企業融資の分野で信用リスクに見合った貸出金利の設定を徹底していなかったことを、図らずも、内外に認めることになりました。今までは、金融機関の金利の幅が、先程のような範囲に設定されていたため、この金利で貸せない融資先には融資を断っていました。いわゆる「貸し渋り」です。

日本における、現在の借入金の金利は、明らかに二重構造です。
一つは、「金融機関の金利」、これは先程の話のように、約1%から3%ぐらいで推移しています。これとは別に「ノンバンクの金利」は、出資法の変更により引き下げられたとはいえ、約10%から上限の29%ぐらいで推移しています。

資金が必要な人は、金融機関にまず融資を申し込みますが、金融機関に担保不足等で融資を断られると、その後は、ノンバンクからの高利の借り入れで賄うしかありませんでした。商売で、金利をカバーするような、30%の利益率などとても望めないので、金融機関からの融資が受けられるかどうかで、企業の先行きが決定されました。ノンバンクが、金融機関とかけ離れた金利で貸し出しているのは、貸出を無担保・無保証で行っているからだけではありません。融資先の信用リスクに応じて、金利を大幅に変更しているのです。

信用リスクが低い貸出先には比較的低い金利で儲け、リスクが高い貸出先には、将来の貸倒損失を含んだ高い金利を適用するという当たり前のことを実施しているのです。

今後は、金融機関も、ノンバンクと同じように融資先の信用リスクを見ながら適用する金利を決定します。最近の調査では、日本の大手銀行の場合、貸出金利から、資金調達金利を差引いた利ざやは1%半ばしかなく、米国の銀行の半分にも満たないとのことです。日本の銀行は、貸倒で融資の一部が回収できなくなるリスクを金利でカバーできておらず、融資すればするほど赤字が膨らむ構図になっています。

金融機関が、融資先を金利により選別する以上、融資を受ける側にも意識の変化が必要です。それは、金融機関は、あくまで「お金が足りない人」に貸すのではなく「お金を返せる人」に貸すのですから、現在の決算書の財政状態・経営成績だけでなく、今後の事業計画についても金融機関側を納得させ、少しでも有利な金利が適用されるような資料の作成が必要になります。

P.S.
第4回に記載した本の著者が、先日、NHKの番組に出演していました。ご覧になりましたか。まあ何事も失敗しなければ前進しませんが、無駄な失敗はしないのにこしたことはありません。

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