第4回 「地域ベンダーと地域ユーザーのマッチング事業」報告 vol.2

前回に続いて「地域ベンダーと地域ユーザーのマッチング事業」で実施した業務分析の事例についてご報告します。

面談時に、
・売上減少したが経費が減らない
・業務がシステム化されておらず、手書きまたはExcelで管理している
・ベテラン社員や特定の社員しかできない業務があり、まかせっきりになっている
・在庫・原価管理まで手が回らない
…等々の問題があり、ITを導入すれば業務改善や経費の削減が出来るのか?と言ったご相談を受けました。

上記内容だけでは情報が十分ではありませんので、それぞれの担当者から業務内容と手順のヒアリングを行った後、
部門間のやり取りは何をどのタイミングで行っているのかを確認して、初めて会社全体の業務フローが見えてきます。

図-1ヒアリングを元にまとめた業務フロー
ヒアリングを元にまとめた業務フロー
図をクリックすると拡大表示されます


その業務フローから、何処に課題・問題点・無駄・不合理・非効率…が潜んでいるのかを依頼企業の担当者と
話し合いながら明確にしていきます。
ここで大事なことは担当者が自分の仕事と捉えていることが、実は本来の業務ではない場合があるということ。

今回も受注から請求までの流れの中で、インプットしたデータが有効活用されず、受注→指示書→出荷・納品→請求のたびに何度もデータを入力し直すと言った作業が行われていました。
他にも取引先から提供されている納品情報が活用されていなかったり、部門間での情報共有がなされていないといった
状況があり、ミスが発生しやすく確認作業など不要な時間を費やし、本来の業務、例えば資材の管理を行うはずの作業が二の次になっていることに気づいていませんでした。

今回のケースでは、今までに何度か業務改善を行おうとしていたことから業務フローがきちんと纏めてあったこと、
取引先から電子データが供給されていることから事務部門の改善を行うことを提案致しました。
ITを利用してデータを一元管理すれば情報の共有化にも繋がり、インプットデータを有効活用できるようになるからです。
データの一元管理・共有化はITの得意分野です。

また、システムを導入すれば手順が平準化でき、操作方法さえ理解出来れば誰にでも業務をこなすことが
可能になります。
ベテラン社員や特定の社員への業務の偏りを無くすことで負荷の軽減や効率化が図れると考えたからです。

無駄・不合理・非効率を少なくすることで、今まで手の回らなかった業務にその時間を充てることが出来るようになり、
経費の節減にも繋がっていきます。
実際にシステム導入により伝票入力の時間が減り、その時間で商品管理を徹底させ、在庫を抑えることが出来た企業があります。

ですが、何もかも一時に改善するのは危険です。改善には必ずと言っていいほど現場の抵抗が発生します。
今までの作業手順に慣れていることから難しく感じたり、面倒に感じたりするからです。
当然慣れるまで時間もかかります。ですから一番効果が出やすいところから改善することをお勧めします。
改善が自分たちの業務効率に繋がる事が理解できれば、更にステップアップがスムーズに実施出来るように
なるからです。

実際に業務分析を行って感じたことは、まず徹底的に相手の話を聞くことが大切であるということ。
何をどう話せばよいのかを誘導するくらいで、後は現場担当者から業務の内容や手順を話して頂きます。
ここで注意することはあくまで客観的に聞くことで、経験値からくる憶測は禁物です。
それと必ず現場担当者から現状を聞くこと、管理者の認識と齟齬は生じている場合があります。
運用手順どおりに作業が進められていないケースもあり、何故そのような手順を踏んでいるのか?直接業務を行っている人間でなければ分らないことがあるからです。
ヒアリングを怠ると問題点の見過ごしや間違った手法の改善策になってしまう恐れがありますので、聞けるだけ聞くことが大事になってきます。
また、聞き取りの時間があまり取れないようなときには予めアンケートなどを準備して記入していただくとよいでしょう。
その上で疑問点や曖昧な点を確認していけば時間も短くて済みますよね。

聞き取り調査が終わったら結果を一覧にまとめます。
そこから課題の抽出を行い、解決策を検討していきます。
前回も述べましたが解決策は一方的に決めるのではなく、関係者の合意のもと決定していかなければなりません。
解決策は実施時期を短期と長期に分け、更にITを利用するのか業務で対応するのかを検討します。


表-1課題検討結果一覧
課題検討結果一覧
図をクリックすると拡大表示されます


すべての課題・問題点がITで解決できる訳ではありません。
IT化に向かない作業やアナログ(業務の手順を変えるなど)で改善したほうが効果が上がるものもあります。
ここをきちんと切り分しておかないと改善を実施しても効果が得られないという結果になってしまいますので
注意が必要です。

システムの導入にかかわらず、最終目標(あるべき姿)を実現するためには現状を知ることが大切です。
是非とも業務の棚卸しを行い自分たちの会社を見直すことをお勧めします。


発言者:(SE、ITC)A

お問い合わせ方法について

お電話・FAXでのお問い合わせ

024-963-2150 024-959-1111
受付時間 9:00~18:00(土・日・祝祭日、弊社規定の休業日を除きます)

オンラインからのお問い合わせ