第24回 消費税改正、その後

    消費税率が5%から8%へ改正されてから、2か月が経とうとしています。施行当日は一部の企業で消費税率が
切り替わらず、営業を見合わせたといったニュースが流れたり、買いたたきで公正取引委員会から勧告を受けた
企業もあったようですが、大半はスムーズに切り替えができたように感じています。

    今回の消費税改正に伴い、施行された消費税転嫁特別処置法(注)のモニタリング活動として経済産業省では、
4月からの消費税の転嫁状況についての調査を実施し、5/23に調査結果を公表しました。

    調査結果の概要は以下の通りです。

  1. 転嫁状況について
    すべて転嫁できている...事業者間取引では79.0%、消費者向け取引では69.3%
    全く転嫁できていない...事業者間取引では3.8%、消費者向け取引では5.0%
  2. 転嫁できた主な理由
    事業者間...以前より消費税への理解が定着しているため
                        本体価格と消費税額を分けることにより交渉しやすくなったため
                        自社商品のブランド・競争力が強く、価格決定権が自社にあるため
                        転嫁特措法等により規制が強化されたため
    消費者向け...消費者において消費税率引上げの意義等に対する理解が浸透したため
                        体価格と消費税額を分けることにより値上げへの反発が和らいだため
  3. 転嫁できていない主な理由
    事業者間...競争が激しく価格引き上げによって他社に取引を奪われるおそれがあるため
                        取引先の業界の景気が悪く値上げを受け入れる余裕がなかったため
                        取引先との力関係で立場が弱かったため
    消費者向け...景気が回復しておらず消費者の財布のひもが固いため
                        競争が激しく価格引き上げによって他社商品に乗り換えられてしまうおそれがあるため
    詳しくは、経済産業省のサイトをご覧ください。


    私のお客様では、総額表示だと値上がりしたように見えることや平成27年10月1日に消費税率が10%に
引き上げられる(予定)ことから値札の貼り替えなどの事務作業を軽減するため、価格表示を税別に切り
替えました。
また本来は値ごろ感を出すために価格を微調整するのですが、便乗値上げと取られかねないとの理由から、
あえて調整を行わず税抜価格をそのまま表示するなど、お客様の心理的な影響に配慮した対応を取っていました。
販売時も、値札と請求額が異なるということで、お客様に丁寧に説明してご理解いただいていたようです。
    今回の消費税改正においては、早くからお客様と連携して準備を進め、余裕をもって移行したので、ほとんど
トラブルがありませんでした。もし、切替当日に価格が正しく反映されなかったり、消費税の計算が正しくされない
といったシステムのトラブルが発生していたら、原因の究明や改修に時間がかかり、お客様やお客様の取引相手の
信頼を損なう事態になっていたかもしれませんね。
    お客様との信頼関係をより高めるには常に早め早めに対応することを心がけ、トラブルの芽は事前に摘んで
おくことだと思います。

(注)消費税転嫁対策特別措置法とは、「消費税率の引上げに際し、特定事業者による消費税の転嫁拒否等の行為を
迅速かつ効果的に是正するための特別措置など、所要の法整備を講ずることにより、消費税の円滑かつ適正な転嫁を
確保することを目的とする」とした特別処置法(適用期間:平成25年10月1日から平成29年3月31日まで)です。(詳細

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