第32回 サッカーくじ

3月決算が終わり気がつけばいつの間にか6月となっていました。久々の更新となります。明日からドイツでワールド・カップが開催されます。前回の大会からもう4年も経ったのかと思うと本当にあっというまでした。ドイツでの盛り上がりを見ると1つの競技でありながらオリンピックよりも規模的に大きいのではないかと思います。さて今回日本はグループリーグを勝ち上がれるのでしょうか?

世界的にサッカーの試合に「くじ」はつきもの、日本でもサッカーくじ(スポーツ振興くじ、通称toto)として平成13年に導入されました。サッカーくじは本来、国が拠出すべきスポーツ振興資金が財政難からこれ以上拠出できないので、その代わりにくじの収益金をスポーツ団体や地方公共団体に配分するという趣旨で始まりました。いわば国からの補助金の代わりのようなものです。導入初年度は売上が604億円ありましたが、平成15年度には202億円、平成17年度には149億円まで急減しており、スポーツ団体への助成金も支払えない状況となっています。サッカーくじを運営するのは、文部科学省の外郭団体、独立行政法人日本スポーツ振興センターですが、りそな銀行(旧 大和銀行)にその業務を委託しています。さらにその販売や払い戻し、宣伝などの業務は「日本スポーツ振興くじ株式会社」に再委託するという、お役人ならではのきわめて複雑な運営方式を採用しています。

りそな銀行は運営委託を受け販売店への端末設置など約350億円を肩代わりし、センターが委託料として毎年返済することになっていました。その返済が売上の低迷により平成15年度から滞り、総額224億円の未払いが発生、りそな銀行はこのうち一部の返済を免除した上で144億円を返済するようセンターを訴える騒ぎになりました。

センターの計算書類は、ホームページに掲載されていますが、独立行政法人の決算書は見慣れないから非常に分かりにくくなっています。さらに会計検査院の指摘では従来、りそな銀行に支払うべき委託料を貸借対照表に未払金として計上していなかったので収支が均衡しているようにして公表していました。本来であれば業務委託費等が未払いであればその金額を未払金に計上し処理するのが当然ではないでしょうか。さらにこの決算の監査がカネボウの粉飾決算で業務停止処分を受けた中央青山監査法人が担当しているのを見て再度驚きました。本当にこの監査法人はいろいろな所に顔をだします。

センターは、従来りそな銀行に委託していた業務を平成17年度から直営方式に変更しましたが売上は増加していません。このままセンターにサッカーくじを運営させたのでは莫大な初期投資を回収できないだけではなくさらに赤字が膨らむばかりであり、終にはサッカーくじの赤字は国民が税金という形で負担することになります。これだけの損失を出しながら誰も責任を取らないお役人の世界は本当に不思議な世界です。

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