第60回 家訓から何を学ぶか?(武家の家訓:No2)

前回に引き続き、今回は朝倉家の事実上の大黒柱:朝倉教景(出家して入道宗滴)の家訓
「朝倉宗滴話記」から朝倉家の家訓をいくつかを紐解いてみました。

1:「安易な予測」

敵が守っているところへ攻めかける場合には、「敵は到底踏みこたえられまい」等とは決して思ってはいけない。
攻めかけた時、もしも踏みとどまって抵抗したときには、味方の心にひるみが生じるからである。

2:「将たるものの態度」

重大な合戦や困難な撤収などの場合、敵方は大将の心構えを知ろうとして、味方の士卒に様々な働きかけをしてくるものである。
したがって、大将たるのも少しも弱々しい態度を示したり、言葉を吐いたりしてはいけない。
ここを十分に注意し、油断のないようにすること。

3:「恐れられるな、慕われよ」

家来の者達から、ただ恐れられているようではよろしくない。
涙を流すほど心から慕われるというのが望ましいと昔から言われている。
そのようでなければ、いざという時に身命を捨てて、主人の役に立つということにはならないのである。

4:「よい評判は若いうちに」

およそ侍は、賢愚に関わらず、まず若年の時から有能な評判を取ることが武運を盛んにするための第一条件である。
何故ならば、若いときに無能な評判をとってしまったものは、成人ののちにも有能になることは滅多にないからである。
又、若年の時に良かった人は、成人してから、たとえ無能と見られるような事があっても当分はそれを言われる事がない。
従って、若いときの心掛けは何より大切なのである。

5:「耳は臆病、目は勇敢に」

武士として「聞き逃げ」すなわち敵に会う以前に状況を判断して退くのは、差し支えのない事である。
しかし「見逃げ」すなわち敵と遭遇してから逃げ出すことは大いによろしくない。
そのような事をすれば、ことごとく戦死するほどの大打撃を受けずには済まぬものである。
「聞き逃げ」は一つの作戦行動であるから、決して逃げたということにはならない。
だが「見逃げ」は明らかに逃走である。
およそ困難な撤退の際には、結束して敵に攻撃を加えながら退かない限り、無事にその場を逃れることはできないと、古来から言われている。
そのような訳で、「耳は臆病に、目はけなげ」=(事前の判断は慎重に、その場に臨んでは勇敢に)というのが、戦の基本と言われている。



1に関しては現代の営業での「競合との争い」に直結。
ライバル会社をあなどっていると、思わぬ油断から競合会社の反撃にあい、こちらのモチベーションも下がり、商談の不成立の結果を招いてしまう事にも似ています。

商談終了まで、いつも「最悪のシナリオ」を描きながら、油断なく慎重に進めるべきと考えます。
油断からの劣勢状況は挽回がききませんので。。

「油断は大敵」です。

2に関しては現代の「社長の態度」に直結。
全ての社長がそうではないとは思いますが、「大将」の器でないのに、社長に君臨している人も居られます。

現在の平成大不景気時代に「金がない」「仕事がない」等、ボヤキまくっているTOPの方が居られます。
そのような態度をとる事も分らないわけではありませんが、やはり大将たる者、毅然とした態度を維持し続けるべきと考えます。

出来ない方は器ではないので、「社長退任」でいいのでは。。。。

3に関してもこれも「社長資質」に直結。
不況でやれリストラだ、やれ減俸だ、も分りますが、社員意見無視の勝手な役員意見は、いかがなものかと思われます。

昔の「戦」は今の「経営」。

社員から慕われずに、過半数社員からダメだしを受けて、現在社長に君臨している方は、「経営」=「戦」には勝てません。
私的意見ですが、社員から過半数の指示票をいただけない役員・社長は即刻退場であるべきです。

理由は簡単=あなたが原因で、「戦」になりません。

4に関しては私の哲学同様=「20代苦労&キャリア重視論」です。
キツイ言い方ですが、私は35歳前で良き評判のない人が、その後、大成功を収めたという人を私は知りません。

現在、過去問わずに、偉人・賢人はすべて若いときに「良き評判」を取っています。

松下幸之助・本田宗一郎・イチロー等、皆様苦労をしたが、良き評判をとっておられます。
私はこの哲学が好きです。

若いときに何とかメジャーになれば、その勢い・哲学でその後は何とかなるものです。

その為にも「若者よ大志を抱け。苦労して、メジャー思考で、名声を得よ」です。
目立たない、何だか分らない指示待ち作業屋的社員は止めなさい。先輩から指名される実力を持てです。

先日NHKで野球のON(王・長嶋)の歴史回顧を放映していました。
その中で当時の荒川コーチは長嶋を称して、「努力の天才」とおっしゃってました。
(世間では努力もほどほどの「天才型」人物と語られていますが、それは虚像です)

長嶋自身も努力している姿は絶対に他人には見せないと、死ぬほど苦しい努力を公にすることを拒んで隠して生きてきたと自分哲学を語っておりました。

これぞ「プロ」です。

著名人やプロと称される人は、凡人みたいにアピールしませんが、並々ならない努力や苦労を見えない所でしているのです。

その事を今の20代には自覚してほしいと思います。

20代に苦労しない人は30代や40代になっても努力や苦労するわけがありません。
その理由は「努力や苦労が習慣化」されない理由からです。
極論すれば、20代は偉人同様、「習慣化」するまで、休みも無い位に苦労しなさいということです。


昔、20代の頃に、とあるお寺の住職に言われました。
「遊んで眠い」「仕事で眠い」とぼやいていたら、住職曰く、死んだら十分にゆっくり寝れるので、
心配しないで、努力して何事にも打ち込みなさいと。。。。。。。。

なるほど、「それも然り」、と私はその時思い、現在でも住職の教えは守っております。

自分なりには「習慣化」はできたと自負しておりますが他人が見たらどうかは不明です。
自分としては慢心することなく、この「習慣化」は仕事を引退するまで続けようと思います。

5に関しては「PDCA」の大切さ。
特にP=PLANの重要性です。

戦場において、敵味方の軍勢・兵糧・士気等を緻密に分析し、各種情報を集めて、その結果、ここは逃げるが得策と判断することは、それはそれで素晴らしいことです。

昔の武将:例えば徳川家康も同様、逃げに逃げて命拾い。いくらでもそのような例はあります。
ムードだけで、「何とかなるんじゃない」でスタートして、散々な営業成績・経常利益等もよく聞く話です。
出来る武将や経営者はきっちりPLANを練って、一度決めたら一気に突き進むことが何事にも重要です。

愚かな経営者やPM(プロジェクトマネージャー)には絶対ならないで下さい。


【参考文献】「武家の家訓」・・㈱徳間書店1972年初版

☆今後も黒田家・武田家等の家訓の一部をご紹介したいと思っております。
ブログ待てない方は上記蔵書の購入を!!!



発言者:(S.E.)Y

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