第27回 債務免除益課税

  • Clip to Evernote
  • Check
今年もよろしくお願いします。監査法人に勤務していた当時のクライアントの年賀状にこの「公認会計士からの一言」を楽しみにしていますとの記載がありました。読んでくれている人がいると思うとちょっとはやる気が出るものです。

 さて、昨年から継続している仕事が山のようにあるのですが、その一つが会社の民事再生に関する仕事です。会計士が民事再生の仕事をする場合は、(1)債務者(民事再生を申し立てる側)の申立代理人(弁護士)の補助者として主に再生計画案を作成するか、(2)監督委員(債務者の監督者、弁護士)の補助者になり債務者の会計、財務面について調査を行うかのどちらかです。

 私は今回の民事再生では監督委員の補助者として仕事をしているのですが、そのなかで重要な部分が、債務免除益に対する課税への対応です。債権者集会における再生計画案の可決を受けて裁判所が再生計画案の認可を決定すると債務者は債権者から多額の債権放棄を受け債務者に債務免除益が計上されることになります。この債務免除益は会社の利益に計上され税務上は課税対象となります。債務免除益に対して税金が発生すると弁済資金が減少してしまい何のために債権放棄を受けたのか分からなくなってしまいます。そのため通常は再生計画案の中で債務免除益に対する課税をどこまで減額できるのかというタックスプランニングは避けて通れないことになります。

 債務免除益課税への対応は、債務免除益の発生時期を調整する方法や損失の計上により債務免除益を圧縮する方法等がありますが、民事再生法の場合は、会社更生法のような強制的な資産の評価損の計上を認めていないので、それが計上できるのかどうかを含め議論の余地がありました。

 今回の平成17年度税制改正大綱では、企業再生の支援をより円滑化・迅速化するための措置として、民事再生法等の法的整理の場合について資産の評価損・評価益の計上と、期限切れの欠損金からの優先使用を認める措置が一体的に適用できるような税制の改正を要求しています。この措置により、一定の再建計画で債権放棄を受ける企業においては、資産を売却して損失を実現しなくとも評価損によって債務免除益を相殺することができるとともに、期限切れの古い欠損金から優先的に使用できるようになることで債務免除益に対する課税への対応が具体化することになりました。また今回の大綱では法的整理だけでなく中小企業再生支援協議会が関与する再建計画や私的整理ガイドラインに基づいた再建計画についても法的整理と同様な措置が適用できるものと定められています。従来諸外国では認められていた債務免除益課税への対応がやっと日本でも認められることになりました。

 昨年末、東南アジアで発生した津波により現地では膨大な数の死者及び行方不明者が発生しています。新聞とテレビで頻繁に報道していますが、犠牲者の中に私が会計士受験当時の知り合いが含まれていることが別の知り合いからのメールで先日わかりました。遠い南国のニュースが急に身近なニュースになった瞬間でした。昨年は自然の持つ力を十分に思い知らされた一年でした。今年は少しでも良い年になりますように。