第7回 BIG 4について

今回は、ちょっと会計事務所の話をしようと思います。

会計事務所といっても、私のような家族経営の会計事務所から、従業員が、世界中で何万人もいる会計事務所まで様々な事務所がありますが、今回はワールドワイドにネットワークを張り巡らしている大手会計事務所(BIG 4)を取り上げます。

それらの会計事務所は、主に米国を中心とする会計事務所です。
そのような会計事務所は、すべて100年以上の歴史を持ち、主にクライアントの世界進出に答える形で、諸外国の会計事務所をその陣営に取り込んでいきました。

今では、ある程度規模の大きな会社であれば、当然、海外に進出しており、クライアントからすれば、海外の子会社の会計や税務について一括してサービスを受けたいと思うのは当然です。石油メジャーのモービルやコンピューターのCPUを製造するインテル等は全世界に拠点を持っており、それらの海外への進出とともに会計事務所の規模は飛躍的に拡大して行ったのです。

会計事務所は、1980年代に8大会計事務所(BIG 8)となった後、それぞれの会計事務所が収益の競争や、訴訟費用の増大などから、合併・買収を繰り返しBIG 5となりました。アーサー・アンダーセンが、2001年12月に破綻したエンロンの不正会計に加担した責任を取り、実質的に消滅し、現在ではBIG 4となっています。今回消滅したアンダーセンは、経営コンサルティングを行っている人であれば一度は聞いたことがある会社だと思います。

アンダーセンは、会計監査、税務及びその他の業務を主流とするアーサー・アンダーセンとコンサルティングを主たる業務とするアンダーセン・コンサルティングの二つの大きな部門から構成されていました。2001年には、長年に渡って対立色の強かった監査部門とコンサルティング部門が、それぞれの収益性や事業のすみ分けで対立しグループが実質的に分裂しました。その時点で、コンサルティング部門は、アクセンチュアとしてアンダーセンから分離独立したのです。

したがって、今回、消滅したのは、以前の監査部門だけであり、現在でもアクセンチュアは、営業を継続しています。

アーサー・アンダーセンの実質的な消滅は、会社の一部の者が犯した監査の失敗が、9万人以上を擁する巨大な会社を、一瞬の内に葬り去るものだっただけに会計監査に携わった者にとっては衝撃的なものでした。

そういえば、そのような話は、日本でもありました、国内牛肉の偽装を実施し、消滅した雪印食品です。
これも一部の役員・従業員の犯した判断のミスが会社を消滅させてしまった典型的な例です。

その後、同じような犯罪が後を絶たず、日本ハムによる牛肉の偽装、東京電力の原発のトラブル隠し等が発覚しています。これらの会社に共通しているのは、会社が本来持つべき「安心と信頼」を失ってしまったことです。築城3年、落城1年と言われるように信頼を築き上げるには長年の努力を必要としますが、それは一度の不祥事で食いつぶしてしまうことを経営に携わる者に教えています。

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