第6回 ペイオフ延期

暑い日が続きますがいかがでしょうか、8月も半ばになると、朝夕は、随分過ごしやすくなってきましたが、それでも、まだ日中は、暑いですね。

さて、ペイオフの話しは、第2回の話でも取り上げましたが、先日の報道で、来年の4月から全面解禁するはずだったペイオフ(預金などの払戻保証を元金1千万円とその利息までとする制度)を見直すとの話が急浮上してきました。

政府の決定では、今年の4月からは、定期預金等の定期性預金を解禁し、来年の4月からは、普通預金・当座預金を含む全ての預金をペイオフの対象にすることになっていたのです。ところが、与党議員は、普通預金のペイオフ解禁を予定どおり行うと、個人預金者らの不安が大きいということで、その解禁を見直せといっています。政府もこれを受け、見直しの作業に入りました。具体的には、まだ、検討中ですが、ペイオフ全面解禁の放棄に他なりません。

ところで、与党議員がいっている個人預金者とは、どのぐらいの重要性があるのでしょうか。
日銀が、今年の3月末に調べたところによると、個人が銀行に預金している金額は約313兆円あり、ペイオフの対象になる1千万円以上の預金は約89兆円で、個人預金全体の約3割を占めます。

一方、口座数で見た場合、約9億口の個人預金口座のうち1千万円以上は、542万口あり、わずか0.6%です。口座数で見れば、大半の個人預金者は、ペイオフが実施されても預金はカットされず実質的な被害は無いはずです。金額ベースで見た場合の比率が約3割と高いのは、まだ普通預金が1千万まで保証されているからであり、来年の3月までには資金移動によりその比率はかなり下がると思われます。

以上から、ペイオフ延期の理由は個人預金者の不安ではなく資金を預かる 金融機関側の問題だということです。
実際、金融監督庁が金融機関の検査を実施しても、不良債権は次々に発生しており不良債権の残高は、一向に減少していません。

今年4月の定期性預金のペイオフ解禁後、預金の残高を伸ばしているのは都市銀行と地方銀行であり、第二地方銀行と信用金庫は毎月の預金残高が前月に対して常に減少しています。このような状況で、来年の4月からペイオフの全面解禁に突入すると中小金融機関から大口預金などが一気に流出する可能性も否定できません。

昨年破綻したマイカルの社債を大量に購入していた秋田県の信用組合や、アルゼンチン国債を大量に購入していた石川県の信用組合のように、ちょっとした経営判断の誤りにより、破綻する金融機関は、今後も増え続けると予想されます。

金融機関が淘汰されず、営業を実施している状況では、ペイオフの延期も妥当な判断なのかもしれません。
ただし、延期により困っていれば誰かが助けてくれるという、 護送船団方式からはいつまでも抜け出せず、破綻したときには、益々、地域経済に与える影響は大きくなります。

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