第3回 決算発表から

5月となり、2002年3月期の決算発表もピークを迎えました。先日は、大手電機7社の2002年3月期連結決算と2003年3月期の連結予想が発表されました。

単位:億円2002年3月期連結決算2003年3月期連結予想
売上高最終損益売上高最終損益
日立製作所79,938△4,83881,000600
松下電器68,767△4,31050,070420
富士通50,070△3,82552,0000
NEC51,010△3,12051,000100
東芝53,940△2,54058,500230
三菱電機36,490△78037,000250
ソニー75,78315380,0001,500
合計415,998△19,260409,5703,100

これが、つい先日までIT景気で好調だった産業なのかと思うような2002年3月期決算となりました。

決算発表では、各社とも、最終損益の要因は、パソコンや携帯電話などIT関連機器の販売が減速し、メモリーなど半導体価格が急落。国内外の通信大手が設備投資を抑えたことで、通信部門の採算が大幅に悪化したことをあげています。

業績の悪化を受け各社は、設備、借入金、雇用のいわゆる「三つの過剰」のリストラを断行、上記のような決算となったわけです。

この決算を見ていると、同じ電機メーカーでもいわゆる、「勝ち組」「負け組」が明らかに2分されているのが分ります。
大手7社の中で唯一最終損益を確保したソニーは、この中では勝ち組なのかも知れません。ソニーの他社との比較をして見ると、明らかに他社には無い製品の特性が見られます。

たとえばテレビゲーム機の代名詞となっている「プレイステーション2」や犬型ロボット「AIBO」などを見ているとソニーの製品が他社の物まねではなく自分たち独自の製品を作り上げ、製品価格の引下げにより販売の増加を図っているようには見えません。

現在のように、個々人の嗜好が多様化した時代には、製品の大量生産により、製品を消費者に供給するよりも、消費者が魅力的だと思う独自性を持った製品を供給できるように会社の意識を変えなくてはなりません。言ってみれば独自性が無い製品を大量に製造し販売していたのでは、結果的に価格の引き下げ競争になり自分で自分の首を絞めることになります。

それが上記のような決算となって現れるとともに、販売価格が一方的に引き下がるデフレ経済の大元にあるのではないでしょうか。

メーカー側(供給側)が自分たちの製品の独自性を発揮し、消費者がほしがるような製品を製造することが、現在の世の中を生きる術なのかもしれません。

お問い合わせ方法について

お電話・FAXでのお問い合わせ

024-963-2150 024-959-1111
受付時間 9:00~18:00(土・日・祝祭日、弊社規定の休業日を除きます)

オンラインからのお問い合わせ