第8回 経済なき理想は寝言
「道徳なき経済は罪であり、経済なき理想は寝言」
これは二宮尊徳(金次郎)の言葉です。二宮尊徳は江戸時代後期の農政家、思想家です。
二宮尊徳の生きた江戸時代後期には、経済という言葉の意味は今より広く、国家(領土)の統治全般を指していたようです。
「道徳のない国の統治政策は犯罪であり、実施困難な政策の理想論は、単なる寝言に過ぎない」ということでしょう。いまの与党にも野党にも耳の痛い言葉じゃないかと思います。
さて後半部分の「経済なき理想は寝言」。
これは、働く我々にとって重要なことを示していると思うのです!!
今の言葉に直すと、こんな意味でしょう。
「経済(=仕事で稼ぐ力)を持っていない人の理想論は、単なる寝言に過ぎない」
所属する会社の不正を糺そうとした場合、また会社の方針が、どうしても自分の信念と合致せず、社長に諫言(かんげん)したりする場合、実権者の性格によっては首を切られることもあるかも知れません。
稼ぐ力を持っていなければ、首になったら、もう生活ができません。なので、そんな人は、生活のため、甘んじて組織に従うしか選択肢はありません。
稼ぐ力さえ持っていれば、自分が正しいと思うことについて、正々堂々と戦えます。たとえ首になろうとも、他の会社で稼げるのであれば、何も心配する必要はないでしょう。
二宮尊徳、かく語りき。
「自分が正しいと考える信念に基づいて生き抜きたいと思わないか?思うのであれば、理想論を語る前に、まずは稼げる力を身につけよ」
