第28回 軽減税率導入


2015年12月24日に平成28年度税制改正大綱が決定し、平成29年4月から消費税が10%に引き上げられます。
それと同時に軽減税率も導入され、税率が2つになります。今回は軽減税率についてお話しします。

軽減税率とは
条件に応じて標準の税率よりも低く抑えた税率のことで、食料品などの生活必需品に低い税率を適用して
消費者の負担を軽くしようとするもの
です。
導入の目的としては、消費税は所得の多い、少ないに関係なく同じ税額を負担します。が、所得の少ない
人ほど食料品などの生活必需品の支出の割合が高くなります。その家計の負担を和らげるために食料品
などを対象に低い税率を適用しようというのが軽減税率です。
海外(得意にEU圏)ではすでに導入されていて食料品などに適用されています。

軽減税率の対象品目
今回の軽減税率の対象品目は「「酒類」「外食」を除く、「生鮮食品」と「加工食品」、「新聞」です。
「外食」と「加工食品」の線引きが分かりにくいですが、外食は「その場で飲食させるテーブルや椅子を
設置した場所で食事を提供する」と定義されました。つまり、店内で飲食すると「外食」に、持ち帰ると
「加工食品」
となり、異なる税率が適用されます。
外食とされる場合...フードコート、屋台、イートイン
          (但し、持ち帰りが可能な状態で購入した物は加工食品となる)
加工食品とされる場合...出前、宅配、持ち帰り

軽減税率の対応
軽減税率の対応は非常に複雑なります。スーパーで次の商品を購入したとします。
ビール(10%)酒類は軽減税率適用外
米( 8%)軽減税率適用
弁当( 8%)軽減税率適用
レシートにはそれぞれの税率を明記し、それぞれに消費税を加算するようになります。
本来は総額表示なのですが、税率が改正になるため税抜価格を表示しているところが多く、消費税を計算
しながら買い物をしています。これが複数税率になった場合、自分は一体いくら払えばいいのか?簡単に
計算きません。また、総額表示に戻った場合でも、本当にその税率が正しいのか検算も面倒になります。
スーパーなどでは食品群または商品毎に税率を設定すれば対応できると思いますが、あるレジメーカーでは、
外税・内税・非課税の税区分しかなく、税率が1本化している場合などは、レジメーカーの対応により準備
作業などが異なってきます。
まして「外食」と「持ち帰り」では税率が異なる外食産業は、同じ商品でも10%と8%の二通りの税率になり、
(想像の域ですが)精算のオペレーションが複雑になると思われます。
ミスを防ぐためにもオペレーションが複雑にならないような工夫が必要で、システムの改修は必須となります。
そのため、政府では小売業者に対し、レジの導入やシステム改修の支援として補助金が用意されています。



出典:中小企業庁HP

とはいっても、施行まで1年余り...私どもにもちらほらと軽減税率対応の相談がき始めています。
外食と加工食品の切り分けが曖昧な部分も残る中、限られた時間の中でどう対応するのか?人員や予算の
確保、改修の対応など早めの検討をお勧めします。
次回はインボイスについてお話ししたいと思います。

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