第33回 国税の電子申告・納税システム(e-Tax)

2017年4月に法人税と消費税の確定申告を早ければ2019年度から、電子申告(eーTax)に義務化する方針であると発表されましたね。今回はeーTaxについてお話ししてみたいと思います。

e-Taxの導入経緯
1983年に発足した臨時行政改革推進審議会(行革審)が、平成5年の第3次最終答申において「著しく立ち遅れているわが国の行政情報化について、個人情報の保護に万全を期しながら、一層積極的かつ戦略的に推進する」必要があるとして、情報化推進計画の策定を提言しました。平成6年に行政情報化推進基本計画が策定され、平成12年のIT基本法(平成13年施行)、平成14年の行政手続オンライン化法(平成15年施行)をへて、国税に関する手続のオンライン化としてe-Taxが開発され、平成16年に運用を開始しました。

e-Taxの仕組み
e-Taxは、e-Taxソフト(WEB版とPC版があります【注1】)を利用して、申告書の様式に準した画面で必要事項を入力するのが基本です。このほかにe-Tax機能を組込んだ市販の会計ソフトから利用することも可能です。国税庁がソフトウェア開発者へ仕様を提供しており、会計システムからe-Taxへデータ(CSV形式)を送信することができます。今まではCSV形式以外の添付書類(第三者証明書等)は別途郵送などで提出しなければなりませんでしたが、平成28年4月1日からはイメージデータ(PDF形式)での提出が可能になりました。イメージデータでの提出が可能な書類は所得税・法人税・消費税(法人)・酒税の申告、源泉所得税・相続税・法定調書など。詳しくはこちらをご覧ください。イメージデータの送信方法には申告書と同時にイメージデータを送信する同時送信方式とイメージデータのみを送信する追加送信方式があります。


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【注1】PC版はソフトウェアをダウンロードして利用しますが、WEB版はインターネット環境でソフトウェアを利用します。
          WEB版ではパソコンの表計算ソフト「Excel」で作成したCSV形式の法定調書を読込ませることができます。
          国税庁のホームページにExcelでの作成手順とフォーマットが掲載されています。

e-Taxの利用状況
少し古いデータにはなりますが、平成27年度のe-Taxの利用率は法人税の申告が75.4%です。個人的にはe-Taxを利用するための準備(電子証明書の取得やコスト)が必要なことから、ここまで普及しているとはちょっと意外でした。が、これは各企業で利用しているというわけではなく、e-Taxは税理士の代理送信も行えます。利用率のほぼ100%が代理送信...というのが実情です。電子申告・電子申請の利用拡大に向け、eLTAX(地方税ポータルシステム)との連携や電子納税(自宅やオフィスからインターネット経由などで 電子的に納付手続きを行うこと)など、利便性を向上させる改善が行われています。

電子納税
e-Taxで書類を申告すれば、納税しなければなりません。「電子納税」を利用すれば、金融機関に出向かなくとも自宅やオフィスから納税することができます。電子納税にはいくつかの方法があります。
●ダイレクト納税
    事前に登録した預貯金口座から振替える
●インターネットバンキング納税
    e-Taxで「納付区分番号」を取得してインターネットバンキングやATMから納付
    する登録方式と、インターネットバンキングやATMから直接納付する入力方式がある
    登録方式はすべての納税が行えるが、入力方式では法人税・申告所得税・地方法人税・
    消費税及び地方消費税・申告所得税及復興特別所得税・復興特別法人税のみ対応

因みに2017年2月に総務省で全国共通の電子納税システム(納税手続きを一括で行うと各自治体へ税金が振り分けられる)を構築すると発表されました。

電子申告を利用するためには準備・導入・システムの操作などのハードルはありますが、利用すれば事務処理の大幅な軽減に繋がります。利用者の立場から総務省が発表した全国共通の電子納税システムと同じように国と地方公共団体、共通の電子申告システムが構築されることを望みます。

出典:国税庁

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