第69回 オープンとクローズド

このコーナーでは初めましてとなります、若手SEのR.Sと申します。
今後ともよろしくお願いいたします。

さて、巷ではスマートフォンと呼ばれる製品が流行の兆しを見せています。
その代表格となっているのが皆さんご存じのとおり、Apple社のiPhoneという製品です。
iPhoneはタッチパネルによる斬新な操作性と前身であるiPodのブランド力によって
新型が発売されるたびに大行列になるほどの人気があります。
そこにiPhoneの牙城を崩す勢いのある新たな波が押し寄せてきました。
それは、Google社が開発したAndroidというOSを搭載したスマートフォンです。

どちらも今現在においては端末の形や機能・操作性などはほぼ同じで、
中にインストールされるアプリケーションソフトも世界中の利用者に
開発されていると言うことは一緒ですが、一つ、両者には大きな違いがあります。

それは、プラットフォームがオープンかクローズドかの違いです。

iPhoneは端末もiOSと呼ばれるOSも全てApple社が開発し販売しています。
いわゆるクローズドなプラットフォームです。
一方、Androidは無償で提供され、端末を開発している各メーカーがそれを搭載して
販売する形となっています。Androidのソースコード自体も公開されているため、
例えば、端末メーカーが独自の機能を追加した製品を出すと言うことも可能になっています。
こちらはオープンなプラットフォームといえます。

また、利用者によって開発されるアプリケーションソフトも、
Androidでは基本的に全て自由なアプリを開発することができ、
Android Marketというサイトに登録して配布、
もしくは独自に配布してアプリを流通させることができます。

では、iPhoneはと言うと、Androidと同様にApp Storeという配布サイトがあるのは同じですが、
iPhoneのアプリは必ずこのApp Store経由でしか流通させることができません。
しかも、App Storeに登録する際に必ずApple社によってアプリの品質やApple社の方針に適切な
物かどうかというチェックが行われてしまいます。せっかく作ったアプリもこのチェックに引っかかり
最悪、公開できずにお蔵入りなんてこともあり得てしまいます。

開発者からはAndroidのような開かれたプラットフォームが圧倒的に支持されています。
スマートフォンに限らず、オープンソースソフトウェア(OSS)に代表されるように、
現在のソフトウェア業界では、『オープンなプラットフォームが良い物だ。』
というものが大きな流れになっているようです。

では、本当にオープンが善で、クローズドは悪なのでしょうか?
先のiPhoneとAndroidのプラットフォームにおいて、それぞれの良いところ・悪いところを挙げてみます。

-オープン(Android方式)の良し悪し-

・制限がないのでアイデアなど自由に表現ができる
・開発者が集まりやすい
・市場が拡大しやすい(特にプラットフォームが無料であればなおさら)
・チェックがないので品質が悪いアプリやウィルスアプリが流通してしまう
・見た目や操作性など統一性がとりづらい
・ハードやソフトの派生物が多く発生し統制がとれなくなる


-クローズド(iPhone方式)の良し悪し-

・品質が一定以上保たれる
・ウィルスなど不正なアプリが流通しにくい
・ハードとソフト(OS)が密接に連携し動作の最適化が図れる
・標準化・単一化による互換性が保てる
・ベンダーの方針に左右(支配)されてしまう
・市場が大きくなりにくい

思いつきで挙げましたがこんな所でしょうか。

昔のホストコンピューター全盛時代のベンダーごとのハード・ソフト一体のクローズドシステムから
現在のパソコン、さらにはクラウドといったオープンなシステムに変わってきたことと同じように、
スマートフォン業界も今後オープンの方向にシフトしていくのではと思います。

なお、余談ですが、オープンプラットフォームに関連してと言うことで...
11月11日(木)に開催されます「ふくしまデジタル情報化フェア2010」にて、
「OSSも利用したセキュリティ事例」と題しまして、OSSの紹介とその活用事例を弊社ブースで紹介します。
是非、当フェアへご来場頂き、当社ブースへお立ち寄り下さい。

発言者:(S.E.)R.S

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